加工に使用されるファイバーレーザー(波長 約1030~1100nm)は、高精度な加工が可能なため、金属や樹脂の切断、溶接、マーキング、さらにはレーザークリーニング(錆取り)など、さまざまな用途で欠かせない技術です。
一方で、ファイバーレーザーは高出力なため、使用時には十分な安全対策が欠かせません。
危険性を十分に理解し、安全対策を徹底することで、作業現場での事故を防ぐことが大切です。
■ ファイバーレーザー光の特徴と危険性とは
ファイバーレーザーは、自然界には存在しない人工的な特殊な光であり、一般的な光源とは性質が大きく異なります。
特徴 ① 指向性(まっすぐ遠くまで届く)
・一般的な光源:あらゆる方向に拡散するため、目に入射する絶対量が少ない
・レーザー光 :光は拡がらず、一定の方向に規則正しく遠くまで進む。パワーが弱くてもかかるエネルギーが大きくなる。
特徴 ② 単色性(エネルギー密度が高い)
・一般的な光源:複数の光がまじりあった多色光源。目に入っても各波長の水晶体での屈折率が異なるので、焦点は一カ所で結ばれません。
・レーザー光 :単色光源。単一の波長のため高いエネルギー密度を持つ。目に入ると水晶体で集光され、網膜の一点に高密度の光のパワーが届くため、非常に危険。
特徴 ③ 不可視光(見えないため危険を察知しにくい)
ファイバーレーザーの波長は、人の目には見えない不可視光レーザーです。
目に見えないため危険を察知しにくく、適切な保護具の着用や安全対策の徹底が不可欠です。
■ ファイバーレーザー光による悪影響
上記の特性を持ち合わせているため、ファイバーレーザー機器取扱い時に適切な安全対策を怠ると、
目や皮膚への損傷、火災などの重大な事故につながる可能性があります。
✅ 目へのリスク(失明・視力障害)
・レーザー光で網膜損傷のリスク(集光作用による)
・ 失明や視力低下の原因となる
( 不可視光のため、気づかず損傷する恐れがある)
➡対策:レーザー機器に対応したレーザー保護めがねの着用
✅ 皮膚・呼吸器へのリスク(やけど・呼吸器損傷)
・高出力レーザーが皮膚に当たると、やけどの恐れがある
・粉じん吸入で呼吸器障害の可能性がある
➡対策:レーザーエプロンやグローブの個人用保護具・使い捨て式防じんマスクの着用
✅ 反射光・散乱光のリスク(周囲の作業者にも危険)
・ 金属片やガラスなどに当たると、鏡面反射で予期せぬ方向へ飛び、周辺作業者にも当たる可能性がある
・ 適切な環境対策(レーザーカーテン、パーテーションなど)がないと、周辺作業者も危険にさらされる
➡対策:管理区域の設置、周辺作業者もレーザー保護めがねを着用
■ レーザー安全対策の基本
目や皮膚へレーザーばく露しない(させない)方法を考えることが一番大切です。
安全対策の基本ステップ
その① レーザーを外部に出さない環境を整える
(カーテンやスクリーンの設置)
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その② レーザー光を直接見ない工夫をする
(遠隔カメラでの監視・ウィンドウの目視確認)
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その③ レーザーの波長・出力に合った保護具を着用する
レーザー機器は、JIS C 6802「レーザー製品の安全基準」に基づき、レーザーの危険性に応じて「クラス1~4」に分類されています。
加工に使用されるファイバーレーザーは基本的に、最も危険な「クラス4」に該当するため、適切な安全対策が不可欠です。
レーザークラス4では、以下の対策が義務付けられています。
✅ レーザー保護めがねの着用
✅ 管理区域の設定(レーザー光が外部漏れないよう管理区域を整備)
また、クラス3R(180-400nm,700-1mm) / 3B / 4 のレーザー機器を使用するすべての危険区域では、レーザー保護めがねの着用が必要です。
【クラス】が記載されています。
必ず使用前にこのクラスを確認し、
表2に示された内容に基づいて、クラスに応じた必要な安全対策を行いましょう
■ どのようにファイバーレーザー用の保護めがねを選べばよい?【選択ポイント】
レーザー保護めがねを選ぶ際は、安全性と快適さを考慮しましょう。以下のポイントに注意して選定します。
✅ 波長対応 :ファイバーレーザー波長(約1030~1100nm)に適用しているかを確認する。
✅ 光学濃度(OD):必要光学濃度以上の性能を選ぶ。
※レーザーシミュレーションから出力条件を入力すると算出が可能です。
✅ 快適性 :長時間の作業でも快適に使える視認性、装着性を確認し、安定したフィット感があること。
レーザー保護めがねと顔との間に隙間がないこと。
✅ 規格適合 :EN 207・JIS規格に準拠した製品。
YAMAMOTOのレーザー保護めがねはEN 207・JIS規格に準拠したモノづくりを行っています。
■ ファイバーレーザー保護めがね【4選】
YL-780G IR /視認性に優れた強化ガラスレンズ採用
・高透明度・キズに強い強化ガラスレンズ
可視光線透過率67%で視認性が高く、キズにも強い。
・スキマをなくしたフレーム設計
サイド・下部のシールドと上部クッションバーで、
レーザー光の侵入を防ぎ、安全性を確保。
・快適な装着バランス
柔軟に動く「フレックスフレームシステム」で
ズレや滑りを防ぎ、快適なフィット感を実現。
・メガネの上から装着可能
オーバーグラスタイプで、メガネの上からも装着可能。
YL-780 FIBER /軽量なポリカーボネート製レンズ
・くもり止めレンズ採用
視界をクリアに保ち、作業中のストレスを軽減。
・軽量設計で長時間の装着も快適
ガラス製に比べて軽く、長時間の作業でも疲れにくい。
・スキマをなくしたフレーム設計
サイド・下部のシールド+上部クッションバーにより、
レーザー光の侵入を防止。
散乱光や反射光から目を守り、安全性を確保。
・快適な装着バランス
柔軟に動く「フレックスフレームシステム」で、高いフィット感を実現。
・メガネの上から装着可能なオーバーグラスタイプ
YL-780 CYAG /多波長兼用タイプ
・YL-780 FIBERでまぶしさを感じる方におすすめ。
・他波長兼用タイプ
・くもり止めレンズ採用
視界をクリアに保ち、作業中のストレスを軽減。
・軽量設計で長時間の装着も快適
ガラス製に比べて軽く、長時間の作業でも疲れにくい。
・スキマをなくしたフレーム設計
サイド・下部のシールド+上部クッションバーにより、
レーザー光の侵入を防止。
散乱光や反射光から目を守り、安全性を確保。
・快適な装着バランス
柔軟に動く「フレックスフレームシステム」で、高いフィット感を実現。
・メガネの上から装着可能なオーバーグラスタイプ
YL-750 LCG /自動遮光機能付き液晶シャッター
・自動遮光機能付き液晶シャッター
センサーがレーザー光を感知して瞬時に遮光。目をしっかり保護。
・ハイブリッド電源(電池+ソーラー)
電池切れのリスクを低減し、長時間の使用にも対応。
・両手が使えるデザイン
ハンズフリーで作業ができるため、効率が向上。
・角度調節可能なつる(テンプル)
顔にしっかりフィットさせることで、隙間からのレーザー光の侵入を防ぐ。
・メガネの上から装着可能なオーバーグラスタイプ
※液晶を保護する「保護プレート付(両面ハードコート)」
✅レーザー機器情報から製品選定ができる『レーザーシミュレーション』
「どのレーザー保護具を選べば良いのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そんな方におススメなのが、『レーザーシミュレーション』。
ご使用のレーザー機器のスペック(波長・出力・発振方式)と作業時間を入力するだけで、
必要光学濃度を表示する他、対応できるレーザー保護具を提案します。
■ YAMAMOTOのレーザー安全対策製品ラインアップ
レーザー保護めがねの着用はもちろん、作業者自身だけでなく、周囲の作業者や散乱光への安全対策も非常に重要です。
特にファイバーレーザーでは、直接光だけでなく、反射光や散乱光も危険であり、これらも目や皮膚に深刻なダメージを与える可能性があります。
YAMAMOTOでは、こうしたリスクを踏まえ、作業者の目を守るレーザー保護めがねに加え、レーザー光から身体を守るグローブやエプロンなどの個人用保護具、さらには光の漏れや反射を防ぐパーテーションやウィンドウなど、環境対策品も豊富にラインナップしています。
ファイバーレーザーは、作業者本人だけでなく、周辺作業者や散乱光・反射光への安全対策も重要!
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YAMAMOTOの製品ラインアップ
■ 『レーザー安全対策』 ならYAMAMOTOにお任せ!
1911年創業の山本光学は、日本で初めてレーザー保護めがねの開発・販売を行った知見を活かして、
レーザー保護具の選定・提供や、アフターフォロー、セミナーなどの安全啓蒙活動に至るまで、レーザー安全に関するトータルサポートできることが強みです。
作業者の目を護るレーザー保護めがねだけでなく、レーザー光から身を護るグローブ・エプロンや、レーザー光から環境を護る環境対策品まで幅広い製品ラインアップを展開しています。
2023年には、国内のレーザー関連産業の発展に寄与した企業に贈られる「2023年度 第15回レーザー学会産業賞 貢献賞」を
2度目に受賞するなど、業界に先駆けてレーザー安全に貢献している点が高く評価されました。
レーザー安全対策に関することは、YAMAMOTOにぜひご相談ください。
適切な保護具選びと安全対策で、安心してファイバーレーザーを使用しましょう!